当院の甲状腺診療 (日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医)
当院では、初診の時に採血で甲状腺ホルモンの異常の有無と、エコーで甲状腺の大きさ・形の異常の有無を調べます。甲状腺が腫大している場合でも必ずしも治療の必要な病気をお持ちであるとは限りませんが、必要に応じてさらなる精密検査を行う場合があります。また、甲状腺腫瘍の良性・悪性を調べる甲状腺細胞診の経験も豊富です。
甲状腺の病気はほとんどが治る病気です。正しく診断し、その方に合った治療を行えば、後遺症無く治ってしまいます。病気に気づかずに、あるいは、診断されても中途半端な治療をして放置されると重大な問題を起こすことがあります。
甲状腺の病気について、どんなことでもご相談に応じます。お一人で悩んでおられずにお気軽にご相談ください。
甲状腺ホルモンとは?
甲状腺はくびの前側、のどぼとけ(甲状軟骨)のすぐ下のところにある蝶ネクタイの様な形をした臓器です。この小さな臓器から甲状腺ホルモンという重要なホルモンが作られ、分泌されています。甲状腺ホルモンは体の代謝のバランスを整える大切なホルモンです。
甲状腺ホルモンは心臓・脳・筋肉など体の様々な臓器に作用をしますが、車に例えてみればアクセルを踏み込むことと同じ作用といえばわかりやすいかもしれません。
甲状腺ホルモンが働く臓器
@心臓への作用
心臓のアクセルを踏み込むため、心臓の動きが速くなります。
→よって、甲状腺ホルモンが多すぎると動悸(心臓がドキドキした感じ),少なすぎると徐脈(心臓の脈がゆっくりすぎる状態)が起こります。
A脳への作用
脳のアクセルを踏み込むため、頭の回転が速くります。
→しかし甲状腺ホルモンが多すぎると神経過敏(イライラ感)、少すぎると認知症様症状が起こります。
B筋肉への作用
アクセルを踏み込むと、筋肉もがんばります。
→よって、甲状腺ホルモンが多すぎると、筋肉ががんばりすぎて手が震える症状が、少なすぎると筋力低下が起こります。
→腸の筋肉も同様で、ホルモンが多すぎると腸が動きすぎて下痢・軟便、少なすぎると便秘となります。
C代謝への影響
アクセルを踏み込むと代謝が良くなりすぎて、食べたものが、肉や脂肪にならずにすぐ熱に代謝されてしまいます。アクセルを踏み込みすぎて燃費が悪くなるイメージです。
→よって、甲状腺ホルモンが多すぎると食べたものが肉にならずにすぐに熱に代謝され痩せ、少なすぎると肥満となります。
→熱代謝も同様です。甲状腺ホルモンが多すぎると発熱し汗かきに、少なすぎると低体温(寒がり)となります。
このように甲状腺の病気は、多彩な症状をきたします。このため、自律神経失調症や更年期障害、うつ病、心臓病、がん、認知症などの病気にも間違えられやすいです。
このため、「ちょっと変だな」と感じたら、ご自身で判断せずに必ず医師の診察を受けるようにしましょう。
検診で見つかりやすい病気
甲状腺ホルモンの異常が起こると、上記のような症状を起こしますが、甲状腺腫瘍の場合は良性・悪性を問わず甲状腺ホルモンに異常が無いことが多いため、気がつかないことがあります。このため、何も自覚症状が無いのに、健康診断で担当医師にくびの触診をしてもらって初めて発見されるケースがとても多いです。当院では検診で甲状腺に異常が見つかった方の精密検査を積極的にお受けしています。
内分泌内科(甲状腺)記事一覧
バセドウ病
バセドウ病は、甲状腺が甲状腺ホルモンをどんどん作ってしまい、その結果ホルモン過剰によるいろいろな症状をきたして困ってしまう病気です。女性に多い病気で、その比率は男性1人に対して女性4人ほどです。好発年齢は20代から30代くらいの若い方です。
橋本病
1912年に橋本策博士が初めて報告したため、橋本病と名付けられた病気です。甲状腺に慢性的な炎症が起きてしまい、徐々に甲状腺が侵され、末期には甲状腺ホルモンが作れなくなり、甲状腺ホルモンが足りなくなってしまう病気です。男女比は1:20と圧倒的に女性に多い病気です。好発年齢は30歳〜50歳代です。